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本人の書いた小説・二次創作などを置いていこうかと。 現在は川上稔氏の著書、都市シリーズの二次創作の予定
2006年02月分
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2006/02/23
不-変-動
 ――告げるもの。時の訪れを、危機の訪れを。


記録「サンマルコ広場北部、時計塔前にて」

 時計塔の前に人だかりが出来ていた。
 外周はカメラを持った観光客と思しき人々で、内周は作業服を纏った職人と思しき人々で形作られている。
 そして中央には二人の人影、一人は市役所の制服を着た大柄な男性、もう一人は黒い翼を背に持つ匪堕天の女性だ。
 人だかりの誰もが上を見上げている、時計塔に開けられた穴、そしてその奥に座る人影を。
 青年が傍らの女性に何かを呟くと、女性は頷きを持って応え、そして翼を広げる。
 飛翔。
 時計塔の針が11時54分を指していた。


(1)記憶「自動人形」
 
 翼を羽ばたかせ、一気に空へと舞い上がる。目的地は時計塔の側面に開けられた穴だ。それくらいの高さなら苦も無く到達できる。私が穴の淵に手をかけて中へと入ると、下から歓声が聞こえた。そんなに匪堕天が飛ぶのが珍しいのだろうか。
 翼を畳み、顔を上げるとそこには一体の牝型自動人形が穴の中に設置された椅子に座っている。彼女は新品の服を纏い、膝に毛布を掛けて静かに佇んでいる。瞳を伏せた彼女は、遠くから見れば椅子に座り眠っている女性のように見えるかも知れないが、近くで見ると自動人形であると気付かされる。彼女の肌はジュリアのそれとは異なり、一目瞭然で陶器で出来ているとわかる。それも所々朽ちかけているのが少し痛ましい。
 時計塔に収められている自動人形は「マラクーヤ」と名付けられ、マリィという愛称で親しまれている。彼女が生まれたのは今をさかのぼること500年以上前、威尼斯がまだ共和国だった時代の話だ。当時の最新鋭の技術を用いて作られた彼女は、威尼斯の住民に時の訪れを告げる仕事を与えられて時計塔に納められた。そして気も遠くなるような年月の間、彼女はここで時を告げ続けている。架空都市英国や創雅都市S.Fにいるという時を詠む自動人形と比べると性能としては劣るのだろうが、年季でみると彼女はトップクラスだろう。
 溜息を一つ、私はゆっくりと振り返る。見えてくるのは冬の陽光に照らされたサンマルコ広場だ。目線を下に向けると時計塔を取巻く連中と目が合う。何故か手を振ってきたので私も振り返して見る。もしかして今、私は見世物になっているのだろうかと、ちょっぴり不安に。
 このサンマルコ広場を見守り続けたマリィ、そして時計塔は500年もの年月を経て老朽化して行き、ついには機能に支障をきたすようになったのが数年前のこと。もちろん定期的に修理を行い、騙し騙し延命させてきたらしいが、時計塔の内部機構が寿命を全うしてしまったらしい。
 時計塔内部の機構を新しいものに入れ替えたりの作業を、今下にいる職人達が行なおうとした際に、500年もの間働いてくれたマリィももう休ませてあげたい、と思ったらしい。本当に良い人たちだ。
 それで彼らが彼女を運び出すために時計塔から切り離そうとしたところ、時を告げるという仕事以外で動こうとはしなかった彼女が初めて拒否の意思を示したんだそうな。耐用期限が切れた人工声帯の掠れた声で懸命に職人さん達に自分はここに居たい、と訴えたらしい。人に進化することの出来ない旧型の、道具として作られた彼女が、だ。
 これには職人さん達は困ったらしい。既に耐用期限も切れ、朽ちるのを待つばかりの彼女をどうするか。彼女を休ませてあげるか、彼女の意思を尊重してあげるか。
 そして彼等は決断した。彼女の意思を尊重して、朽ち果てる時が来るまでここにいさせることを。
 そう決めてからも苦難の連続だったらしい。なにせ500年も前に作られた彼女は、今の自動人形とは規格が違うために延命措置を施すのにも試行錯誤。作業中でも彼女は時間になったら時を告げようとする等……。
 そして紆余曲折を経て、改修作業を始めてから数年がたった今日、ようやく作業を終えて本稼動に移る。その感動的場面に特等席で立ち合わせてもらえることになったのだが、何やら私は市役所就きの記憶師という立場になっているらしい。確かにそうでもないとこんな特等席に上がるのは許されなかっただろうね。
 音を立てないように縮こまっていると、微細な音の変化に気付いた。
 今まで静寂を保っていたマリィが唇を窄ませ、吸気音を立てている。
 慌てて腕時計を見ると針は11時59分を指していた、時を告げる歌を唄うために彼女は準備を開始したのだ。
 気付くと下ではカウントダウンを始めている。観光客の列は好奇の眼差しを、職人の列は真摯な眼差しをそれぞれ彼女へ向けながら。私も固唾を呑みながら待つ、彼女が声を発するのを。
 時計塔の大きな針が、腕時計の小さな針が、カウントダウンの声が。
 0を指す。
 吸気音が止み、彼女は口を開き、歌が始まった。


(2)記憶「激励」

 市役所の講堂、壇上に立つと一同の視線が集まってくる。野郎共に見つめられても嬉しくないんだがよ。
 今、講堂の席はほとんど埋まっている。席に座るのは市役所の職員、実働部隊の面々だ。つまりここに威尼斯の抱える戦力が集中しているわけだな。物々しいったらありゃしねえ。
 今頃エレナと若造は時計塔でマリィの御披露目を見ている頃か。後で話を聞くとしよう、若造に焼きを入れながら。本当は俺が行きたかったんだが、この状況じゃしかたあるめえ。まあとっとと終らすことにしよう。
「ああ~……皆に集まってもらったのは他でもない。気付いてる奴もいるたあ思うが、そろそろあれが来るわけだな」
 講堂内に集まった面々が頷く。何人かは何のことかわからず頷いていやがるな、壇上から見てるとよくわかる。
「で、だ。それだけだったらいつも通り対処してもらえばいいんだがよ? 各国の速読暦(ファストリーダー)の連中が余計なことしてくれやがったらしくてな。何でも近い未来に威尼斯を破滅の危機に瀕するてえ内容の予言を連中そろって読んじまったから各国は大慌て。我先にと伊太利亜政府とうちに情報を通達してきたってわけよ。まったくっ心配性な奴らだな」
 取りあえず笑い飛ばしてみるが、誰も続くものはなし。俺が馬鹿みてえじゃねえか。
「まっ、この時期でもあり、その破滅の危機ってえのはあれのことに間違いねえって俺は考えている。威尼斯の野郎が周りの不安に呼応して、不安だった……過去の破滅の記憶を再現しやがる訳だ。基本的にはこの都市を肯定するが、この時ばかりはしちめんどくさくてかなわねえな。そろそろ祭だってえのによ」
 拳を作り、振り下ろす。音が講堂に響き、机の上の書類が揺れ、拳に痛みが走る。
「今回のは大きいぞ! 各国の馬鹿共が煽り、勝手に心配している所為で、威尼斯に漂う不安は留まることなく募り続けていやがる。何が出やがるかわかったもんじゃねえ、おめえら気合入れて準備しな!」
 啖呵を切った途端、講堂内の大気が揺れた。
 揺らすのは野郎共の叫び声、決意の意思が宿る咆哮だ。うるさいったらありゃしねえな。
 それを見て一先ず一安心だ。これなら有事の際、実働部隊の連中は不安を恐れずに動けるだろう。
 後は例年通り派遣されてくる奴らを激励して終わりか。
 しかし威尼斯は本当に難儀な都市だな。海に沈む未来が不安だからって、過去の不安を再現して現実に破滅をもたらすなんてよ。滅びの運命が怖いからって自害しようとすることはねえだろうに。
 

(3)記憶「告示」
 
 マリィの口から放たれるのは時を告げる歌。
 やや声が掠れているのにもかかわらず、綺麗な歌声だ。
 歌は60秒続く。時計の長針が動くまで。
「んむぅ……さすがにこんだけ近いとちょっとうるさいわね……」
 耳を軽く押さえながら、贅沢な不平を漏らす。彼女の歌声は充分な吸気を事前に行なったおかげか、最初から最大ボリュームだ。同じく時を告げる大鐘楼の鐘の音に負けないように、彼女は精一杯声を張り上げる。よくこんなに無理して唄って体を壊さないものね。
 さて職人達が譲ってくれた特等席だ、しっかりと見て、しっかりと記憶に残さないと。そう何度もあがらせて貰えないだろうし。
 歌を唄う彼女は、目を伏せて無表情。まるで御人形のようだが、彼女には意思があるという。時を告げる歌を唄い続けたいという意思が。作られた時に添付された仮初の意思だろうと言ってしまえばそれで終わりだが、私はそう思いたくは無い。身勝手な思いかもしれないけど。
 命令ゆえ、と決め付けてしまうのは悲しすぎる。
 60秒間の至福に身をゆだねるために、記憶を符に封じ終えると私は瞳を伏せ、聴覚に集中する。
 だけど、至福は60秒を待たずして中断された。
 不意にマリィの歌声とは異なる、機械的な警報が鳴らされる。
 今の今まで彼女の歌声に聞き入ってた人だかりにどよめきが生まれる。皆互いに顔を見合わせ、不安そうな表情を浮かべて。穏やかだった空気が徐々に張り詰めていく。
「これって……」
 疑問はすぐに解消される。15年前に何度も、ここ数ヶ月でも2度ほど聞いた音だ。
「第1警報……」
 呟きながら、遠く海を眺める。
 ここから見ると穏やかな海だ。とてもとてもあれが脅威になるとは思えない。
 しかし、第1警報が鳴らされたということは数日中にあの海が押し寄せてくる。威尼斯を満たすために。
 アックア・アルタだ。

 ――気がつくと歌を終えていたマリィが、また眠ったように佇んでいる。



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2006/02/19
日常
 ――ずっとずっとこのままでいたいね。


記録「アパートの一室にて」

 古めかしい印象を覚えるが、ゆったりとした空間をもつアパートの一室。
 カーテン越しに差し込む陽光が、やや乱雑とした部屋の中を照らす。
 今部屋の中で音を立てているのは旧式のエアコン、新型らしき小型の加湿器、そして壁にかけられた古めかしい壁時計。
 一定のリズムで音が連なる中、窓からさす陽光で半分を照らされたベッドの上には一つの人影。
 毛布を軽くかけ、横向きに蹲るようにして眠る匪堕天の女性だ。
 匪堕天だけでなく、背に翼を持つ種族は一概にして仰向けに眠るには向いていないため、うつ伏せか横向きになって眠るしかないのだ。
 小さくうめくと寝苦しいのか、彼女は寝返りを打とうとする。
 しかし背には翼があり、無理な力がかかる結果となって、
 
 翼は鈍い音を立て、彼女は小さく悲鳴を上げた。


(1)記憶「目覚め」

 痛みを訴える翼を擦りながらベッドの上でのたうつ。
 割と最悪な目覚め方。
 朝や寝る時に限って、匪堕天であることを恨みたくなってしまう。それ以外の時では堕天の父と人間の母の運命的な出会いに感謝。周りには反対されたんだろうけど。
 息を整えていると、ドアを叩く乾いた音が響く、
「エレナ、大丈夫ですか? 何か猫が苛められた時のような悲鳴が聞こえたのですが」
 ドア越しに大丈夫ーと応えて、壁にかけられた時計に目を向けると針は10時47分を指していた。
 昨夜寝たのが遅かったのと、心地よい夢のせいで寝過ごしてしまったようだ。市役所の皆はもう出勤してしまっているだろう。
 ようやく痛みがやわらぎ、起き上がって体を伸ばしているとジュリアが部屋に入ってくる。彼女は私が脱ぎ散らかした衣服などが転がる部屋を見て苦笑、散らかっているものを踏まぬようにしながら部屋を縦断するとカーテンを開く。
 カーテン越しにぼんやりと差し込んでいた陽光が輪郭をはっきりさせる。ちょいと眩しい。
「さっ、エレナ。起きたのでしたら、着替えて顔を洗ってくださいね? 今すぐ朝ご飯の準備をしますから」
 ジュリアは微笑み、床に落ちてる服を軽く片しながら部屋から出て行く。その後姿を見送りながら私は既視感を覚える。というよりここ最近毎日のように見ている気がするぞ。
 これ以上だらしないところを見せてたら見限られかねないので、言われたとおりに寝巻きを着替え、顔を洗って食堂に行くとしよう。まだ翼には鈍い痛みが残っている、軽い捻挫にでもなっているのかもしれない。

 
(2)記憶「朝食」

 目の前に並べられた朝食を片付けていく。良く考えたら昨日の夜から何も食べていなかったので空腹だ。こんな生活を続けていたら太りかねない、自重せねば。
 隣を見るとジュリアが自分の分の珈琲に、ポットに入ったホットミルクを大量に注いでいる。彼女は既に朝食を済ませているはずだが、遅く起きた私に付き合ってくれている。
 ジャムを塗ったハードロールを珈琲で流し込み、一服、
「そうそう、さっきね? 夢を見たよー、三ヶ月ぐらい前の記憶。私が戻ってきた日の」
「ああ、あの日のことですか。私のことを過去と見間違えた」
 あれはショックでした、と言いながらカップの珈琲を混ぜる彼女の顔には微笑。
「そりゃね、15年ぶりの再会なのに何一つ変わってなかったら変だと思うでしょ?」
「そうですね。可愛らしかった8歳の少女が、可愛らしい23歳の女性になって戻ってきたのは驚きましたし、普通はそれぐらい変化をしているものでしょう。――人としての進化は多少進みましたが、老いは得られていないのが残念です」
 自動人形は機械から人へと進化する。ジュリアが自動人形であったと知ったのは15年ぶりの再会を果たした後だった。ジュリアが人としての進化が大分進んでいて、見た目ではわからないのもあるが、先に教えてもらっていれば戸惑わずに済んだのだけれども。
「しかし自動人形の身であるからこそ、時の流れに囚われず、色んな方の御世話をさせて頂けるわけですが」
 呟く彼女は微笑が絶えない。純粋な人ではない故の弊害も多々あるのだろうが、彼女にとって今の生活が幸せなのだろう。色んな人を迎え、見送っていくことが。引っ越すぐらいで泣き喚いていた私とは大違い。
「……やっぱり、ジュリアは私にとっていつまでも御姉さんね……適う気がしない」
「私にとって、エレナはいつまでもエリィちゃんですよ?」
「いや、さすがにこの年になってエリィちゃんはちょっと恥ずかしいかなー」
「それは私もです。もう稼動開始から61年を経過していますので、御姉さんと呼ばれるのは――」
 と、そこまでジュリアが言うと二人して笑う。
「あの日とまったく同じ事言ってるわね、私達」
「エレナが懐かしいことを言うからですよ? エレナと再開できたあの日は私の記憶領域に厳重に保護をかけて保存してありますから、会話の一語一句に至るまで再現可能です」
 覚えてる限り情けない記憶しかないからあまり厳重に保存して欲しくないのだが。帰ってきた実感が沸いた時、感動の余りちょっとだけ泣いてしまったりしたし。
「昨晩は遅かったですが、また過去を追って?」
「ああ……うん、気がついたらサン・ピエトロ島のほうまで行っちゃって」
 私達記憶師は現実を記録する。威尼斯の過去を再現する機能を惜しんだ各国が、過去の情景などを記憶師達に記録するよう要請してきた訳だけど、私としては威尼斯に帰る為の口実となったし、大好きなこの都市を気ままにほっつき歩いて、心動かされた情景を符に封じているだけでお金がもらえるという最高の職環境。
 威尼斯の再現する記憶はその日限りのもの。全てが朝から始まる訳ではないが、全ては夜12時になると消えてしまう。まるで御伽噺の魔法のよう。だから気になる過去の記憶を追ってねばっていると簡単に夜12時を廻ってしまい、そこから帰って寝るとなると必然的に寝坊する訳で。
「お仕事ですし、無理は為さらないで下さいとしか言えませんが。後、テオドゥーロ様が悲しんでいらっしゃいましたよ? 『エレナがいつもおらん。何が悲しくてこんなむさくるしい奴らと席を並べて朝飯なんぞお!』と市役所の方々を詰りながら」
 ジュリアが声色まで真似て喋ってくれたので、その光景が目に浮ぶ。テオ爺は子供っぽいところあるからなー。
 15年経ってみるとアパートは住む人がほとんど居なくなってしまい、持ち主であり、市役所実働部の長でもあるテオドゥーロ=エミリことテオ爺の意見の元に市役所の独身寮として再編されていた。その事を私は知らなかったわけだが、昔のよしみということで住まわせてもらっている。ジュリアはテオ爺にアパートの管理を一任されているわけだけど、アパートから独身寮へと移行した背景には、住人が年々減っていき悲しむジュリアをテオ爺が見たくなかったからというものがあるとか無いとか。あの御爺さんは口は悪いけど、根は良い人なのよね。市役所の男の人たちにも悪態はついてるけど面倒見がいいし、うん、そうだと思いたい。
「あー……確かに、テオ爺とはここでは余り顔合わさないわね。一応外ではちょくちょく……ていうか、貴方市役所で仕事中じゃないの、ていうぐらい会うんだけど」
「道端でお会いするのと、一緒にお食事するのは別次元ですよ? それにテオドゥーロ様は市役所の実働部隊。この都市を守護されている方です。恐らく警邏の最中なのでしょう」
 ジュリアはテオ爺のことになると全面肯定。詳しいことは教えてくれないが、ジュリアはテオ爺に対して恩義を感じているらしく、神聖化しているように思える。確かに良い人だと思うし、警邏もかねているのかもしれないけど、街をぶらついてるのはほとんどサボりだ。
 テオ爺が街中で何かと絡んでくれるから、3ヶ月という短い期間で威尼斯に溶け込めてるというのもあるけど。
「うん……そういうことにしておく。さってっとっ、そろそろ私も……」
 時計を見ると11時32分を指している。さすがに今の朝食を昼食代わりにするとお腹が空いてしまいそうだ。
 とか考えていると目の前に小さな紙包みが差し出された。
「今からお出になるのなら夕食前に小腹が空いてしまうかと思ったので、歩きながらでも軽く摘めるようにしておきました。ご入用でしたら持っていってください」
 ジュリア依存症が高まっていく気がする。本当に敵う気がしない、どうしたものだろうか。


(3)記憶「街中」

 ジュリアに用意してもらった弁当をポシェットに詰めて小道(カッレ)を行く。威尼斯の道は入り組んでいて、まるで迷宮のようだ。全体で道の数は3000余り、その全てに名前がついているというから驚きだ。住んでた頃は当たり前だと思ってたが、外に出て、他の都市での暮らしを体験すると威尼斯の特殊性が実感できる。
 観光客が地図を持ってるからと安心して一人で散歩して、地図上の現在位置を見失ってしまい迷子になることも多々あるらしい。確かに道の名前などは少し分岐するだけで変わってしまう。道に迷わないために基点にすべきなのは小道の途中にある広場(カンポ)だ。そこで自分の行きたい方角を確認して進めば良いし、大体はベンチが置かれているから疲れているのなら一休みすれば良い。
 ふと視線を向けると広場では子供達が遊び、大人達がベンチに座り談笑を賑わせている。混ざりたい気持ちもあったが、ポシェットを肩にかけなおして我慢。こんな重役出勤しておいて、何もせず休憩モードに入るのは間違っている気がする。色々と、人として。
 今日はどこを廻ろうか、と考えていると曲がり角の向こうからやたら野太い歓声。一度でなく、数度。
 何事だ? と駆け足になって曲がり角まで行くくと目に入ったのは人だかり。観光客か? と思ったが、皆よそ行きの服というよりも作業服を纏った人のほうが多いし、何より記憶の限りではこの通りは観光客で賑わうようなスポットは無かったはずだ。
「ていうかここって職人通りだもんね……」
 何なのだろう、と首をかしげていると後ろから肩を叩かれる。
 振り返ってみると、そこのはアンバランスな二人組み。片や小柄な老人、片や大柄な青年、両者の共通点は市役所の制服を着ていることだろうか。老人が片手をあげて「よっ」と気さくな挨拶をしてきたので、取りあえず私も片手をあげて挨拶を返す。青年がぎこちなく片手をあげるのを見て微笑ましく思う。
「テオ爺にカルロさんじゃない。……って、まだ御仕事中だよね? 何でこんな所に……またサボりですか、貴方達は」
 溜息をついてやれやれ、と言ってみるとテオ爺が慌ててたように手を顔の前で振り、
「サボりじゃねえてよ、威尼斯の野郎が市役所の奴らを再現しちまってな? 俺達の座る席がねーんだわ、これが」
 こりゃこまった、と頭を叩きながら笑う彼を見て、ここの市役所は本当に大丈夫なのだろうか不安になる。子供の頃は気さくな御爺さんでよかったのだが、成長してテオ爺の肩書きを理解してから見ていると、この人に都市の治安を任せて大丈夫なのかと思ってしまう。
「まっ、それでよ? 連絡があったから警邏がてらエレナの後ろの人だかりを監督に来たわけよ」
「へぇ。で……結局あの人だかりはなんなの?」
 振り向いて確認しながら問うと、また歓声が上がっている。確かに祭り時でもないのにあんな歓声上げられては近隣の方々は不安になっても当然だ。
「あー、なんでも何代か前の親方が再現されたらしくてよ? ほれ、威尼斯硝子の工房がそこら辺にあったろ。それで各国に散らばってってた職人達がこぞって見学に来たらしくてよー。普通だったらこんな囲まれてちゃ、集中できねんだろが、過去の再現なら気にしねーから格好の見学対象だわな」
 成る程、通りでやたらと野太い歓声なわけだ。威尼斯の記憶再現機構は失われた技術の再現などにも役立つため、どんな過去が再現されているかは市役所や記憶師によって記録される。そして有益な記憶の再現は各国に知らせて、技術の普及に努める。
「エレナさん、せっかくですし貴方――」
 後ろから聞こえたカルロさんの声が鈍い音で遮られる。
「おめえ、誰に断ってエレナに口聞こうとしてるんだ? 保護者代わりの俺を通してからにしろって。
  ――許さねえけどな」
「テ……テオ爺!! 蹴ることは無いでしょう!? それに貴方に許しをもらう必要なんてないはずだっ」
「おお? なんだ、なんだ、やるか、やるか?」
 拳が風を切る音が聞こえ、それに応えるように地面を蹴る音が聞こえたかと思うと、肉を殴打するくぐもった音が聞こえてくる。あの二人が一緒だといつも喧嘩している気がする。喧嘩するほど仲が良いということだろうか。止めても無駄だと経験上わかっているのであえて無視。記憶師としての仕事を優先する。
「でも……これじゃ、件の親方が見えないわね……」
 人だかりを作っているのは屈強な職人達、背伸びをしても見えるのは前の人の頭ぐらいだ。
 また、歓声が上がる。
 しかたないので飛ぶ事にする。飛びながらだと焦点がぶれるからあんまり好きではないのだが、そうも言ってられない。ポシェットから符を取り出して深呼吸。背に力を込め、黒い翼を広げる。朝の捻挫のせいで軽く痛みが走ったが、無視できる範囲だったので無視して、軽く風の遺伝詞を読み、タイミングをつかんで羽ばたく。
 飛翔した。
 一気に高くなった視点から先ほどの集団を見下ろす。人だかりの中央、周りの職人達と比べてやや小柄な初老の男性がいる。頑固そうな、昔気質なイメージの御爺さんだ。テオ爺とは大違い。
 彼は今、出来立ての硝子細工を太陽に翳し、出来具合を見ている。
「綺麗……」
 その光景を、私の感想を付けて符に封じる。手にした符に描かれた紋章が白から黒へと塗り換わっていく。全てが黒字になったら封印完了。これでいつでも封印をとけば、この光景が私の脳裏に浮ぶことになる、私の感想付きで。
 陽光を浴びてキラキラと輝くそれを眺めていると、感動で胸が一杯になる。何年前かはわからないが、過去の作品の生誕の現場に居合わせているわけなのだ。見ると、周りを囲む職人達の中には涙を流している人までいる。よほど感動しているのだろう。
「……?」
 気がつくと、職人達の一部が中央にいる過去の親方を見ていない。彼らの向く先は私の背後。
 釣られて振り向くと、そこにはボロ雑巾のようになって地面に伏すカルロさんとその背に片足を乗せて勝ち誇るテオ爺の姿。彼は多少息を切らしているものの怪我は見受けられない。私が振り向いたのに気づくと両手を掲げてガッツポーズ。
 
 それを見て溜息を一つ。威尼斯はいつも通りみたい。



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2006/02/13
観光案内-諸注意-
 威尼斯を観光するにあたって、注意しなければならないのが「アックア・アルタ」の存在です。
 例年では11月から3月にかけての期間に数回起きていますが、近年ではその例に反して発生することも多々あるために注意が必要となります。
 「アックア・アルタ」による被害を被らないために知っておくべきことは警報の存在です。
 威尼斯、そしてその近隣の都市では「アックア・アルタ」を知らせる警報が鳴らされることがあります。
 「アックア・アルタ」を知らせる警報には4種あり、それぞれ、

   第1警報……「アックア・アルタ」が近日中に起こりうると予測された場合に鳴らされます。

   第2警報……「アックア・アルタ」が起こり、海が都市に満ち始めた時に鳴らされます。

   第3警報……「アックア・アルタ」の水位が異常な高さになると予測された場合に鳴らされます。

   第4警報……「アックア・アルタ」に伴い、避難することが必要と判断された場合鳴らされます。

 となっています。
 
 第1警報が鳴らされた段階で、観光目的での滞在は制限されますので、速やかに威尼斯から本土側へと避難されることをお勧めします。警報が鳴らされると、サンマルコ広場等の水上バス停泊所からは臨時便が運航されますのでそれらをご利用ください。

 万が一滞在中に第4警報が鳴らされた場合、威尼斯市役所の職員が先導を行うことになっておりますので、それに従い避難を行ってください。
2006/02/12
再(開/会)
記録「サンマルコ広場、水上バス停泊所にて」

 空で輝く太陽に照らされたサンマルコ広場の船着場、一艘の水上バスが停泊している。
 マルコ・ポーロ空港からの便なのか、カメラや地図などを手にした団体が物珍しそうに「世界一美しい広場」と称えられたサンマルコ広場へ目線を向けながら下船していく。
 観光客の一団が途切れると、船内から大きな旅行鞄を肩にかけた女性が姿を現す。
 爛々と輝く太陽の下で、その存在を主張する漆黒の羽を携えた匪堕天の女性だ。
 彼女は眩しそうに頭上に手をかざすと、笑みを浮かべながら桟橋からサンマルコ広場へと足を進める。
 サンマルコ広場には多くの人影、先に降りた観光客はもちろん、住民、そして物言わぬ過去の住民達だ。
 その過去と現在が入り混じる光景を目にすると、女性は笑い声をこぼした。

(1)記憶「帰郷」

 波に揺れる船体から出ると急に視界が開ける。
 青い空、そしてサンマルコ広場が視界に飛び込んできた。
 サンマルコ広場には、時代錯誤な服装を着た過去の住民と、地図、カメラを片手に物珍しそうに歩く現実(いま)の観光客。そしてそれを囲むように聳える歴史的建造物。
 維尼斯で唯一、広場(ピアッツァ)と呼ばれるのがわかる気がする。
 桟橋の上からその光景を眺めていると記憶が甦って来る。子供の頃、ここから離れた時のことを。
 背後から水上バスの運転手のオジサンが「また乗るんかい?」と声をかけてきたので、頭を下げて応えながら桟橋を歩き出す。背にある匪堕天特有の黒い翼でひとまずアパートまでひとっ飛びで行こうかとも思ったが、それでは情緒が無い。15年ぶりの帰郷、せっかくだから歩いていくことにしよう。
 桟橋の上を歩き、人で賑わうサンマルコ広場に足を踏み入れる。
 威尼斯が伊太利亜に統合され、現在のような過去を再現する都市になって以来、人口は減少を辿る一方で現在は6万人ぐらいしかいないらしい。愛着があって住んでいる人、店を営んでいる人、市役所の人、そして私のような記憶師ぐらいなんだろうね。
 確かにところ構わず過去が再現され、年に数度洪水に見舞われていては住みづらい事この上ない。
 でも、今サンマルコ広場は賑わっている。共和国時代の建物が現存し、過去を再現する都市である威尼斯は観光・祝祭都市として発展を遂げたため、年中観光客が絶えない。そして観光客で賑わうと、威尼斯はその賑わいに呼応し賑わいの記憶を再現する。
 まだ人がいた頃の威尼斯を。
 見ると、観光客らしき人が市役所職員に注意を受けている。多分過去の住人にちょっかいでも出したんだろう。
 威尼斯の再現する過去は、己の記憶している情景を再現するためにまず大気中の流体(エーテル)で人の形を再現し、そこに仮の意思を添付する。電詞都市DT(デトロイト)にあるという贋作外殻(NPCボディ)のようなものらしい。あくまで外観だけを再現したもので、過去は現実を見ていないし、過去から現実に、現実から過去に声は届かない。
 再現された記憶は自分達のした行動を繰り返す。現実側からの障害、当時無かったものが設置されていたり、現実側からちょっかいを受けたりがあると何とかそれを迂回し元の行動に戻ろうとする。それを面白がり何度も邪魔する観光客が絶えないそうだ。
 少し嘆かわしい。
 その様子に溜息を漏らしていると、不意に轟音が大気を揺らした。
 威尼斯の誇る大鐘楼の鐘の音だ。
 広場の誰もが足を止め、顔を上げていた。
 鐘の音に驚いた現実の、そして過去でもそうだったのであろう鳩達が空ヘと羽ばたいていく。
 この光景は壮観の一言に尽きる。
 「世界一美しい広場」とはよく言ったものだと思う。
 鐘の音が鳴り止み、広場が賑わいを取り戻したら、とりあえず当初の予定通りにアパートに行くとしよう。15年前まで暮らしていたアパート、よくしてくれた管理人の御姉さんや、可愛がってくれた市役所の御爺さんは元気だろうか。御爺さんの方は15年前の段階で結構年老いていたから不安なんだけど。

(2)記憶「期待」

 部屋を掃除する手を休め、壁にかかった時計に目をやると、時計の針が2時50分を指していました。
 昨日送られてきたメールによると威尼斯に到着するのは2時、多少寄り道することを考慮に入れて、サンマルコ広場からここまでは4~50分程度です。そろそろ御出迎えのために1階に下りたほうがいいでしょう。
 メールの送り主、新しき入居者は15年前まで当アパートで暮らしていた方。当時8歳だった可愛らしい匪堕天の少女も、15年後の今では23の女性。彼女がどのように成長し、私の前に現われるのか期待と不安が入り混じったような感情で胸が膨らみます。
 ぐれていなければ良いのですが。
 15年前に威尼斯を両親の仕事の都合で出る際に、酷く嫌がった情景を鮮明に記憶しているため、一抹の不安を覚えてしまいます。それだけこの都市を気に入ってくださっていたととらえると、住民としては嬉しいものですが。
 掃除道具を片し、窓の外に目をやると、前の通りを向こうからこちらに向かって歩く人影。大きな荷物を肩にかけ、背には黒い翼、匪堕天の女性のようです。恐らくはあの子でしょう。
 その場で大きく深呼吸。
 落ち着いたところで御出迎えのために1階に下りるとしましょう。

(3)記憶「再会」

 足を止めると、建物を見上げる。
 目的地であるアパートに辿り着いたわけだが、サンマルコ広場からここまでの道、そして建物は15年前の記憶との差がほとんど無かった。まるで過去に戻ってきたような錯覚に陥ってしまう。
 懐かしい、生まれてから8年間を過ごしたアパートは昔のままそこにあった。多少、15年の歳月で風化した部分もあるだろうが、よく手入れされているためにそれも気にならない。
 ただ玄関前に設置された郵便受けにつけられた名札の数は昔より少なくなっている。徐々に住民が減少しているという事実を突きつけられているようで少し寂しくなる。
 胸に両手を当てて軽く深呼吸をすると、昔は顔の高さにあったドアノブに手をかけ、ゆっくり捻る。事前に着く時間を伝えておいたからか鍵はかかっていなく、錆び付いた音を立てながら扉は開いていく。
 扉が開いていくと視界に入ったのは一人の女性。肩辺りまでの白に近い銀髪のセミロング、そしてその下で微笑みを浮かべた顔はよく覚えている。管理人の御姉さんだ。挨拶をしようとして、違和感に気付き口を噤む。
 目の前の女性は確かに、記憶の中の御姉さんそのままだ。
 しかし今はその15年後、私だってだいぶ背が伸びるなど変化をした。子供から大人へ、ほどの変化はないにしても15年の歳月は人が変わるには充分な時間だ。
 つまり目の前にいるのは、
「再現された過去で御出迎え、か。威尼斯も洒落たことしてくれるわね~……」
 再会が先延ばしになったことに溜息をつきながら呟くと、目の前の彼女は目を弓なりに細め、
「いいえ、過去ではありません。私は現実(いま)ですよ?」
 予想していなかった反応に開いた口が塞がらない。何がどうなっているのだろう。
 私の反応を見て楽しむように微笑むと彼女は両手を広げ、
「ようこそ、エレナ=カンナバーロ様。当アパートの管理人を務めさせていただいている私、ジュリア=カミチアは貴方様を歓迎いたします」
 一礼。すぐさま顔を上げ、
「お帰りなさい、エリィちゃん。15年ぶりですね?」
 何がどうなっているかわからないが、目の前にいるのは確かに私の知っている御姉さんらしい。
 なら積もる話や聞きたいことは後回し、今私がここでいうべき言葉はただ一つ。

「――ただいま、ジュリア御姉さん」

                      
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2006/02/11
観光案内-威尼斯の抱える問題-
 威尼斯は「追憶都市」であると同時に、豊かな海に囲まれた「水の都」であることは周知のことかと存じます。
 しかし、威尼斯は現在、「水の都」であるがために緩やかな破滅の運命を迎えているのです。
 威尼斯では11月から3月頃にかけて吹く阿弗利加からの季節風「シロッコ」の影響により発生する、と言われる「アックア・アルタ」と呼ばれる洪水に毎年見舞われています。
 「アックア・アルタ」は昔からの自然現象であり、威尼斯の住民はそれを予見し何とか折り合いをつけて生活を続けていましたが、1900年代に入った頃から「アックア・アルタ」の回数の増加、満潮時の水位の上昇、例年では起こらなかった時期での発生などの問題が生じました。
 その原因としては第1に威尼斯の自然な地盤沈下、第2に1950~60年代に本土側の工業地帯が発展し、地下水の過剰汲み上げを行なったことに端を発する大幅な地盤沈下、第3に地球温暖化に伴う世界全体の水位の上昇、などが考えられています。
 歴史的建造物を多く抱える威尼斯の水没の危機を危惧した各国は、「アックア・アルタ」による被害を防ぐ目的で、周囲の環境を改造し、人為的に操作することを可能にするために「モーゼ計画」を提案、実行に移そうとしましたが、これに対し住民が「威尼斯を取巻く環境を改造して、都市を救うことは、自然な環境を破壊し死滅させた上に立つ救いである。自然と都市は共にあるべきもので、都市だけが生き残ることは意味がないことである」と反対し、計画の中止を求めました。

 結果、各国は住民の意思を尊重するとして計画の実行を中止しましたが、その代替案として出されたのが、沈み行く威尼斯の記録を残すために「記憶師(メモリスト)」(注1)の派遣を斡旋することでした。


(注1)
 「記憶師」とは己の見聞きし、感じた現実の一場面の記憶を符に封じることで記憶の風化を防ぎ、正確な記憶を保持することのできる遺伝詞(ライブ)関連の職業です。彼らの多くは情報を発することに長けており、ある者は文字媒体、ある者は映像媒体、ある者は遺伝詞媒体により封印した記憶を外界に発するのです。

2006/02/09
観光案内-序説-
 成立以後、繁栄と衰退を繰り返してきた都市国家としての威尼斯は仏蘭西帝国によって1797年に滅ぼされ、1866年より伊太利亜の一都市となった威尼斯は、祝祭都市として己を歴史に刻み始めました。
 1797年から1866年までの間、威尼斯は己の都市としてのアイデンティティを見失い、不安の時代だったと言えます。
 それ故、1866年から新しく歩み始めた威尼斯は、もう二度と己を見失わぬよう、自分の記憶を刻み、そして記憶を反芻する都市となっていきました。
 そして現在、威尼斯は己の記憶を再演する、過去と現在が共存する都市として発展を遂げています。
 その感傷的な都市として発展した威尼斯を人々は

 追憶都市 威尼斯(ついおくとし べにす)(Reminisce City Venice)

 と呼ぶようになったのです。
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